住宅性能とは

間取りと性能の関係

高性能住宅にすると、間取りの自由度が格段に増します。
昔の日本の家では、部屋を襖などで小さく仕切って廊下でつなぎ、各部屋ごとに暖房するというのが一般的でした。このような間取りの家はよく「ブドウ型」と例えられます。家全体を1つの房として、廊下が枝、廊下で繋がれたいくつかの部屋が実というようなイメージです。
この間取りが一般的だった大きな理由は、断熱性が高くない家で部屋を大きくすると壁や屋根から外気の影響を大きく受けてしまい、冬にとても寒い空間になってしまうからです。寒い冬には人がいる部屋だけを暖めるという手法を取るのが一番合理的だったのです。
しかしこの間取りが主流だったことが、各部屋間の温度差が原因で起こる「ヒートショック」の発生率を高めてしまう大きな原因となってしまいました(詳しくは「なぜ高性能住宅が良いのか?ーお金、健康の視点」で説明しています)。

一方、近年普及が進んできた高性能住宅では効率よくエアコンを効かせられるので、部屋を小さく仕切る必要も各部屋にエアコンを設置する必要もなくなります。その結果、各部屋を必要以上に分離することなく空間を広く使って開放感を感じられたり、吹き抜けを作っておしゃれさを感じられる設計が可能となりました。従来の「ブドウ型」の家に対して、高性能住宅はひとつの大きな空間をベースに間取りの取り方を考える「リンゴ型」に例えられます。

部屋ごとの仕切りがはっきりとしたものではないため空き部屋が生まれにくく、全空間を長く有効活用できるところも「リンゴ型」の家の良い点です。「ブドウ型」の家の場合、子ども部屋を最初に設けても、子どもが大きくなって家を出るとその部屋が余って有効活用できないというようなケースも多くあります。

また家の広さに関しても、ひと昔前の日本の家は平均坪数が35~40坪でした。現在は28~33坪が多いようです。これは廊下などの繋ぎに必要な面積が最小限で済むようになったことが要因のひとつです。
家を建てたときに両親から「すごく広い家を建てたね」とびっくりされながら実際の坪数を比較すると、実は両親の住む実家の方が大きい、なんてことがよくあります。性能の高い家で空間を広く使うデザインを実現できたからこそ、実際の大きさ以上に開放感を感じることができるのです。逆に開放感のあるデザインや吹き抜けが流行っているからといって性能が低い住宅でそのような設計にすると、エアコンが効果的に機能せず快適な温度にならなかったり、光熱費が高くついてしまうことになってしまいます。

高性能ならではの空間を有効活用する「リンゴ型」の家で、快適かつより理想が叶えられる住まいを実現させたいですね。


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