住宅性能とは

パッシブデザインについて

パッシブデザインとは、太陽光や風などの自然エネルギーをうまく利用する、省エネをを実現させる設計手法のひとつです。

同じ省エネを実現するものでも、機械などの技術を使った手法はアクティブデザインといいます。アクティブデザインは機械の力で大きく省エネ性能を高められますが、機械設備を導入したり交換したりする分コストがかかります。一方でパッシブデザインは、コストをかけず長期的に省エネを実現することができることが最大の特徴です。
電気やガスの使用量を減少させることができ、省エネで地球環境にも優しいという点もパッシブデザインの特徴として挙げられます。パッシブデザインを実現するためには、断熱、日射遮蔽、日射熱利用、自然風利用、昼光利用の5つがポイントになります。

特に、太陽の位置や日射の入り方を考慮して間取りを設計することが重要です。日射のエネルギーは住宅にとって夏は強敵になり、冬は大きな味方になります。
例えば真夏の暑い日の昼間、太陽からの熱を遮断するかしないかで同じUA値・C値の家でも室内の温度や快適さは大きな差になります。夏の日、条件にもよりますが何も対策をしていないと、南側の窓(幅1.6m×高さ2m)に当たる直射日光の熱量は約600Wにもなります。これはこたつ1台分と同等だとイメージすると、どれだけのものかがわかりやすいのではないでしょうか。これでは室温がどんどん上がっていくため、必要以上に冷房を強め室温を下げることになります。当然、その分電気代は余計にかかります。
さらに言うと、室内で600Wのこたつとエアコンの冷房を同時につけているような状態になると、身体が異常を感じて自律神経が乱れやすくなってしまいます。自律神経の乱れは全身のだるさや頭痛、不眠などの症状を引き起こすため、健康状態に悪影響が及びます。これが夏バテの原因のひとつなのです。
パッシブデザインでは窓に日射遮蔽措置をとり、太陽からの熱を必要以上に取り込まない設計にすることで、少ない冷房負荷で健康・快適に過ごすことができます。日射遮蔽措置は大きく分けて窓の外側に取り付けるものと内側に取り付けるものがありますが、外側に取り付けるものは日射を8割カットできるのに対して、内側に取り付けるものは4割ほどしかカットできません。したがって、窓に庇やアウターシェードを取り付けるなどするのが効果的です。

逆に冬の昼間は、いかに太陽熱を取り込むかがパッシブデザインのポイントです。
冬の日には南側の窓から効果的に日射を取得することで、少ない暖房負荷で暖かく快適な室内を作り出すことができます。暖房に必要な熱量は、外皮からの熱損失から内部での発熱と日射取得を引いた量です。太陽熱は費用をかけずにで取り込むことができるエネルギーですから、これをしっかり活用できたら暖房に必要な熱量が少なく済みます。
このように、日射遮蔽・日射取得の計画を設計に取り込むことが重要です。
そして上記はあくまで一例で、他にも様々な工夫を凝らすことでパッシブ設計を実現することができます。設計者の知識や技術にも大きく左右されるのですが、夏涼しく冬暖かい家を必要以上の光熱費をかけず実現できる要素になるので、なるべく気にしたいポイントです。
1日単位では微々たる差かもしれません。しかし1年単位・10年単位で見るとかなり大きな光熱費の削減になります。電気代が高騰している昨今だからこそより効果は大きくなります。

専門的で難しい分野ですが、パッシブデザインについて幅広い知識を持つ住宅会社にお願いすることは、家づくりにおいてひとつのポイントになります。


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