住宅性能とは

換気の仕組み -知っておくべき3種類の換気方式-

高性能住宅を知るには、換気の仕組みや換気方式の種類についても理解する必要があります。人間が体内に取り込む物質で最も多いのは「空気」であり、換気がしっかりされていない家に住んでいると、汚れた空気を体内に取り込み続けてしまうことになります。

従来、日本の住宅ではキッチンやトイレ、浴室に換気扇を取り付け、使用後に短時間だけ稼働させ臭いや湿気を排出するという形式が主流でした(=局所換気)。しかし、ホルムアルデヒトなどの揮発性有機化合物を放出する合成建材内装の利用が増えたことから、部屋の空気の汚染が問題視されるようになりました。これが目の痛みや頭痛・倦怠感を招く健康被害「シックハウス症候群」として1990年代に大きく取り上げられ、2003年に改正建築基準法で機械による計画換気が義務化されました。

現在日本の住宅で義務付けられている機械による計画換気では、家の中の空気を1時間に0.5回(2時間に1回)入れ替えるように設計することになっています。

上記の経緯から機械換気で計画的に綺麗な空気が確保されるようにしなければならないため、換気についてもしっかり目を向ける必要があります。

換気に種類があることはご存知でしょうか。どういった換気の方法を選択するかによって住宅の快適性や燃費に影響しますし、十分に機能しないと健康被害などを引き起こすこともあります。健康で快適な住まいは断熱性・気密性の高さに加えて計画通りの換気が機能して実現できるため、断熱・気密と換気はセットで考える必要があることを今一度確認してみましょう。

換気の種類は以下の通りです。

第3種換気は一般的には広く採用されている方法なので、イメージしやすいのではないでしょうか(居室に給気口が設置され、トイレや風呂場の換気扇が排気口になっているケースが多い)。昔ながらの局所換気の考え方をベースに、居室ごとの給気口と長時間運転の排気ファンを設置したシンプルな換気方式です。排気ファンを24時間絶えず稼働させることで、1時間に0.5回家の中の空気が入れ替わり、常に綺麗な状態を保つことができます。これを「24時間換気システム」と言います。
基本的に排気ファン1台で済むのでコストがかからず手頃な方式ではありますが、外気をそのまま給気するため夏には熱くて湿度の高い、冬には冷たくて乾燥した空気を取り込んでしまいます。冬には排気による熱損失も大きくなり、その分暖房の稼働を強めなければならないため光熱費が余計にかかってしまうことになります。

高性能住宅で快適な暮らしを実現したいなら、第1種換気がおすすめです。
給気・排気ともファンで送風するため、家の中の空気を綺麗に保つのに最も優れています。かつ熱交換器を取り付けることによって夏は暑さと高湿度を緩和、冬は寒さと乾燥を緩和した状態で外気を取り込むことができる点もメリットとして挙げられます。熱交換器とは、排気する空気の温度や湿度を取り込み給気する空気に転換することで、室内と変わらない温度や湿度のまま、新鮮な空気を室内に送り込むことができるようになるものです。真冬に暖かい空気、真夏に涼しい空気を給気できることで快適性が大きく変わってきます。また、効率の良い熱交換を行うことはエアコンなどの光熱費の削減にも繋がります。
さらに給気口にフィルターをつけることで、健康被害に繋がる花粉・埃・黄砂・PM2.5などをカットした、綺麗な空気を室内に取り込むこともできます。

第1種換気は第3種換気に比べ価格が高くなってしまうデメリットはありますが、メーカーによって価格や特徴が色々とあるので見比べてみることをおすすめします。


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