住宅性能とは

なぜ高性能住宅が良いのか?-お金・健康の視点

高性能住宅は冷暖房を効率良く稼働させることができ、少ない光熱費で「夏涼しく、冬暖かい」を実現できる省エネ住宅です。大きな特徴としては、「お金がかからず」「健康的で」「耐久性も高く」「快適に住むことができる」ことが挙げられます。
このページではお金と健康についてを解説していきます。

お金の話

家を買うとき、どうしても最初の購入価格ばかりに目が行きがちですが、それ以上に考えるべきなのは住み続けることで発生するランニングコストについてです。
家を買うとなると、何十年も住むのが前提のはず。それなら住んでいくうちにかかる光熱費も考えて、トータルでコストパフォーマンスに優れた家を建てるのが経済的にも賢い買い方です。
ローコスト住宅の多くは性能のことをあまり気にしていません。確かに初期費用が安いので手を出しやすいように感じますが、住んでいく中で効率悪く冷暖房を稼働させて光熱費がかさむと、長い年月が経つうちにローコスト住宅ではなくなってしまいます。

例えば、

①ローコスト住宅で光熱費が月平均2万4千円かかる住宅

②性能を上げるために200万円上乗せして、光熱費が月平均1万4千円になった高性能住宅

この両者を比較します。

両者を比較すると、光熱費は②の方が1年間で12万円安くなります。 
②で高性能にするためにかけた200万円は光熱費の差を考えると約16年間で埋まり、それ以降は住めば住むほど高性能住宅の方がトータルコストが安くなります。そもそも初期にかかる200万円の差も、30年や35年ローンを組んでいると月あたりの支払いは約5千円増えるほどになります。月々のローン支払いを5千円増やして光熱費を1万円減らしているということになるので、ローンと光熱費を合わせると実は月々の支払いは住み始めたその時から高性能住宅の方が安いのです。さらにいうと、電気代は今後世界で年あたり3%ずつ上昇するといわれています(現に今は、既にひと昔前より上昇しています)。ローコスト住宅だとその分もさらに重くのしかかってくることになります。
高性能住宅では、2階建でエアコンの設置を1台か2台とし、24時間快適な温度を保つように稼働させるのが一般的です。エアコンの数が少なくて済むことと、冷暖房効率が良いことから24時間稼働させても電気代が安く済みます。ランニングコストをしっかり考え高性能住宅を購入すれば、効率良く冷暖房を稼働させて、経済的かつ快適に暮らすことができます。 
高性能住宅の方が燃費が良く、コストパフォーマンスに優れるというのがおわかりいただけましたでしょうか。

健康的な暮らしができる

断熱性・気密性がしっかりしていない従来の日本の住宅では、部屋を移動すると寒かったり、エアコンをつけている部屋でも足元が冷えるなどの問題がありました。そして、低温に起因する家庭内での死亡事故数は、なんと交通事故数の3倍あるというデータも出ています。
「ヒートショック」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。これは特に高齢の方に多い症状で、「暖かい部屋→寒い脱衣所・浴室→熱いお風呂」と温度差が大きい場所を移動する中で血圧の乱高下が起こり、失神や不整脈、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こし、最悪の場合死に至ることもある疾患です。日本は先進諸国の中でヒートショックによる年間死亡者数が世界一と言われ、2位の韓国と4倍近くの差、3位以下の国とは6倍以上の差がついています。

また、ヒートショックのみならず低温に起因する健康障害は多くあります。
「冷えは万病のもと」とも言いますが、代謝や免疫力の低下、血圧の上昇、循環器疾患のリスク上昇など、冷えは様々な健康被害に発展する恐れがあります。冷えが健康に大きな影響を与えるという点から、日本以外の先進諸国では家の中の温度が18℃を下回らないように設定されている場合も多くあります。
例えばイギリスでは室内温度を常時18℃以上に保つことのできない賃貸物件は、改修・閉鎖・解体の命令が可能になっています。ドイツでは室内温度を日中(6~23時)は20℃以上、夜間(23~6時)は18℃以上に保つことが義務付けられています。さらに、室内温度が18℃以下になる場合は「基本的人権を損なう」という考え方になっています。WHO(世界保健機関)も「住まいと健康に関するガイドライン」で冬期の最低推奨室温を「18℃以上」と勧告しています。子どもと高齢者はさらに暖かくするようにとも言っています。
近年ようやく日本でも高性能住宅が普及してきましたが、先進諸国に比べると日本の住宅のレベルはまだまだ低いのです。

高性能住宅では、室内の温度を快適に保つことができ健康的な生活を送ることができます。
特に断熱・気密がしっかりしていると各部屋間や部屋内での温度差が小さくなり、どこにいても快適な温度のもと過ごすことが可能です。もちろん、従来の日本の住宅で発生数が多かったヒートショックや低温に起因する健康被害を予防することができます。実際に、高性能住宅に転居するとアレルギーや喘息、アトピーなどの症状が改善したという研究結果もあります。

また、高性能住宅は天井から足元まで温度が一定になるので、冷え性にもなりにくくなります。足元が温まると血流が促進され、風邪を引きにくかったり老化の防止に繋がるなどの効果があります。
高性能住宅に住むことが健康寿命を延ばすことにも繋がると結論付けている研究も多数あります。健康寿命が延びると、医療費を必要以上にかけずに済むということにもなります。元気で経済的な老後生活を送ることができるようになるのです。

さらに、換気がしっかりできている高性能住宅は、常に綺麗な空気を取り入れ、室内の空気汚染(カビやダニ)・結露・感染症などの抑制にも繋がります。「換気の仕組み」で説明している通り、“家の中の空気を1時間に0.5回入れ替えるようにする”というルールは、ハウスシック症候群やアトピーの問題が社会的に注目されるようになったからです。人間が体内に取り込む物質の中で最も多いものは「空気」であるため、常に新鮮な空気を取り入れることも健康でいるためには大事な要素です。

「人生100年時代」と言われる昨今です。高性能住宅でいつまでも快適で健康的な暮らしを送りたいものですね。


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