日本の住宅の寿命ってどのくらい?
日本の住宅のこれまでの寿命と、これからについて説明します。
「長期優良住宅」という言葉、一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは近年盛んに言われるようになってきた言葉であり、それ以前の日本の住宅には“長期優良”というような視点はありませんでした。
今でこそ「長く安心の〇年住宅」と言われるような住宅も登場してきましたが、日本の住宅の寿命は約38年と言われています。住宅ローンは30年や35年で組むことが多いので、これだとローンを支払い終えた頃には、家はほとんど寿命を迎えてきていることを意味します。外国と比較すると、アメリカでは55.9年、イギリスでは78.8年というデータが出ています。
上記から言えることは、日本では基本的に一世代で取り壊しや建て替えをすることが前提になっており、一方アメリカやイギリスでは、長く住めることから複数世代で住み継ぐことが前提になっているということです。
なぜ日本では寿命が短い家が主流になっているかというと、高度経済成長期の状況に起因しています。当時はどんどん都市部が発展していき、それに伴い大都市近郊には団地やベッドタウンが整備されていきました。良くなっていく景気に比例して人々の持ち家志向も上昇し、マイホームを持つ人も増えていきました。そんな状況の中、国全体として住宅が量重視で供給される方向にどんどん進み、質に対する議論が十分になされなかったのです。
寿命が短い家は、耐久性が低く老朽化も早くなってしまうため、修繕費がかさみます。また、いざというときに売却しようと思っても期待した値段はつかず、資産価値としても意味を持たなくなってしまいます。アメリカやイギリスの家の寿命が長い理由は、耐久性がしっかりしているからです。ローンを完済した家も資産価値が維持され、いざというときにはそれなりの値段で売ることもできます。
近年ようやく、日本でも住宅の質や資産化・ストック化に目が向き始め、法律や制度が整備されてきました。耐久性が高く安心でき、かつ資産として次世代に譲ったり高値で売ったりする住宅を建てることはとても大事なことなのです。
ぜひ皆さんにもこの現状を理解していただき、今後どのような住宅を購入するのが自分や家族にとって良いのかを判断してほしいと思います。
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