住宅性能に関する基準は?
住宅性能の基準について国の法律で定められたものとしては、断熱性能等級があります。しかし長年規定されてきたその水準はとても低く、国が推し進める脱炭素化という流れにも合わなくなっていました。そこで近年になり、2014年にZEH基準、2020年にHEAT20が制定され、近年、官民一体で性能に関しての取り組みが急激に加速してきました。そして2022年には、法改正により断熱性能等級も水準の高いものが新設され、さらに高性能住宅への動きが活発になっています。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しており、住宅の分野においても省エネに対しての基準を上げたり優遇制度を設けたりしています。ここで挙げた各基準については後ほどご紹介しますが、まずは地域ごとに分かれている省エネ基準地域区分について説明します。
省エネルギー基準地域区分
省エネ基準地域区分とは、経済産業省と国土交通省がエネルギー消費の削減及び地球温暖化対策の推進のため、省エネルギー法に基づいて定められているものです。日本を地域ごとの気候に合わせて8つに区分し、それぞれに求める住宅性能の基準を規定しています。
皆さんの住んでいる地域がどの区分で、どれほどの性能値を満たしたら高性能住宅になるのかを知ることができます。例えば、人口が多い東京の主要地域だと6地域になります。断熱性能等級5(HEAT20 G1相当)だとUA値0.56、断熱性能等級6(HEAT20 G2相当)だとUA値0.46が基準値です。 ※断熱等級・HEAT20については後述
断熱性能等級
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)で規定された「省エネ性能」を表す基準です。
長年、1999年に規定された等級4が最高水準でしたが、2022年4月に等級5が、2022年10月に等級6・7が新設されました。さらに、2025年4月以降に建てられる新築住宅は等級4以上しか認められないことになっています。
ここ数年、国が住宅性能の向上に目を向けており、これまで以上に性能面が厳しく要求されます。
等級3にあたる「新省エネ基準」は、かつては“新”という言葉で表現されていましたが、今後は認められない水準となります。
等級4は長らく「次世代省エネ基準」と言われ最高等級とされてきましたが、今(2023年現在)から20年以上も前に制定されたものなので、レベルとしてはかなり低いものです。また、2022年10月から等級4では長期優良住宅の認定を得ることもできなくなりました。
続いてZEHやHEAT20については以下です。
ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が定めた基準に則った、「一次消費エネルギー−(断熱・省エネ+創エネ)≦0」となるように設計された住宅のことを指します。ZEH基準を満たした住宅を購入すると、経済産業省や環境省が定める補助金制度を利用することができる場合があります(2023年現在)。
HEAT20
HEAT20とは、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」が定めた、屋根や外壁、床、窓などの「外皮」と呼ばれる部位について、断熱、遮熱などといった性能の評価基準を設定していを定めたものです。
ZEHよりも高い水準で、UA値をもとにG1・G2・G3レベルの順で基準が上がります。1~8の省エネ基準地域区分に対して、断熱性能等級、ZEH基準、HEAT20の各グレードにUA値を当てはめたものが以下の表です。
先述の通り、2025年以降は等級4(H28基準)以上の家しか建築が認められなくなります。さらに現在、国は遅くとも2030年までには断熱性能等級5も適合義務化にする動きを取っているため、同等レベルのZEH基準でも物足りないと言えます。
したがって、最低でもHEAT20 G1レベル、できればHEAT20 G2レベルまでを満たすと快適に過ごすことができる家になります。ただし「高気密とは?」で説明している通り、気密性が悪いと理論上の数値であるUA値はほぼ全く意味がないため、しっかり気密性のとれた家に限ります。最近はHEAT20 G2レベルを謳う住宅会社も増えてきて良い傾向になってきていますが、気密測定を全棟実施しているかどうかを必ず確認してみてください。
性能に関する基準は細かい部分があり難しい点ですが、日本全体で推進されている基準なので住宅会社は当然知っていなければいけない知識です。ぜひ訪れた会社で詳細を聞いてみてください。
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