高断熱とは?
高断熱住宅とは、室内と室外の熱の移動が少なく、効率良く室内を暖めたり冷やしたりすることができる住宅のことです。
断熱性が高い住宅は外気の影響を受けにくくなるため「夏涼しく、冬暖かい」快適な環境をを実現しやすくなります。年間を通じて快適な環境を保てるほか、光熱費の節約や健康被害の予防に繋がるなどのメリットもあります。
逆に断熱性が低い住宅は、典型的な「夏暑くて、冬寒い」住宅です。
断熱性能は一般的にUA値(ユーエーち)という指標で表され、これは室内の熱が外に逃げる度合いを示した数値です。具体的には室内から床、外壁、屋根(天井)、開口部(窓)といった外皮を通して室外に出ていく熱量の合計を、外皮面積の合計で割った値です。数値が小さいほど断熱性に優れており、例えば東京エリアだとUA値0.46以下で高断熱住宅だと言えます。
地域によって求められるUA値の水準は異なります。また、各地域の中でも等級が分けられています。数値と地域に関しての詳しい説明は「住宅性能に関しての基準は?」をご覧ください。
気になっている住宅会社が断熱に力を入れているかどうかはUA値を確認することでわかります。自社の標準UA値を即答できない会社は論外ですし、逆に「UA値〇〇以下は約束します」と言ってくれたら安心できる要素になります。
高断熱住宅にするには、主に断熱材と窓がポイントになります。
まず、断熱材について説明します。
以下が一般的によく使われる断熱材とその特徴です。
基本的に上記の断熱材はどれを選んでも、高断熱レベルのUA値は実現できます。しかし施工が難しい断熱材もあり、施工次第でUA値が無意味になる場合もあるので注意が必要です。UA値は実測値ではなく設計図や断熱材を元に計算した理論値であるため、きちんと施工されて初めてUA値上の断熱性が発揮されるのです。
例えば安価でよく使われてきたグラスウールですが、施工が難しく断熱材と断熱材の間に隙間ができやすいというデメリットがあります。UA値は隙間からの熱損失がゼロであることを前提に計算されているので、隙間ができると机上の空論にしかならないのです。施工の精度に自信のある会社なら良いですが、安いからという理由だけで選択する会社は危険です。「UA値は0.46で高断熱住宅のはずだけど、なんだか寒い…」と思ったら実は壁の中に隙間があったとようなケースも多くあるのです。
隙間ができてしまうと性能が数値通りに発揮されないどころか、さらにもっと重大な問題が起こります。
最も致命的なのは壁内での結露です。壁内結露とは、室内の温かい空気が壁内の隙間に入り込み、それが低温部分で冷やされて壁の中で結露が発生するというものです。
一般的に温かい空気は多くの水蒸気を含むことができますが、これが冷やされることで水蒸気が液体である「水」に変わります。壁内結露が起こると、断熱材が水を含むことで断熱性能が損なわれたり、カビの発生・繁殖、木材の腐食やシロアリの食害など様々なトラブルに繋がります。カビの繁殖はダニの大量発生を招き、住み手の健康被害に及んだり、シロアリの食害は家の耐久性の低下に繋がるなど、甚大な事態に発展してしまいます。かなりひどい状態になるまで見た目ではわからないのがやっかいな点です。
このことからも、壁内に少しでも隙間ができないように高い精度で施工することは必須項目です。施工の精度は気密性がどれだけ優れているかと関連性があります。したがって、気密性能を表すC値を気にすることが重要です。
「高気密とは?」で詳しく説明していますが、C値は隙間がどれほどあるかを示す指標です。
以上のことから隙間ができてしまうリスクを考え、
①施工しやすい断熱材を選ぶこと
②施工精度に自信や実績がある住宅会社を選ぶこと
この2点に気を付ける必要があります。
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